うろたどな

"These fragments I have shored against my ruins."

無ではないサイレンス(笈田ヨシ『見えない俳優』)

「サイレンスとは無では有りません。戦争が起これば、自分自身のなかに膨大な疑問、思考、悲しみが沸き上がります。そのときに叫ぶのではなく、サイレンスを求めるのです。サイレンスとは受け入れることです。受け入れるとは受動的ではなく、能動的になることです。この社会をどのように認めるのか、この暴力的社会とどう関わるのか。気持ちや感情といった声高なものを超えて、静寂へ、深い思考へと向かいたいのです。内に起こっていることや、外から来るものに強く反応すれば、自分を閉じ込めてしまいます。それらを静かに受け止めて、内にサイレンスを見出すことができれば、外から大きな心持ちがやって来て自分を広げて行くでしょう。」(笈田ヨシ『見えない俳優』162頁)