うろたどな

"These fragments I have shored against my ruins."

「マルクスの書物の偉大さと重要性」(ウィルソン『フィンランド駅へ』)

マルクスの書物の偉大さと重要性は、それが農場や工場の労働に内在する価値の本質をこのうえなく明らかにした点にあるのではなく、労働者が雇用者によっていかに虐待されているかを具体的に示し、そのような状態にたいして読者の怒りを呼び起こしたという点にある。マルクスは、これら怖ろしい状況が文明を進歩させており、道徳は相対的な問題だと言っているように見せかけて、その実、それらに終止符を打たなければ真の文明ありえないことをわれわれに解らせようとしているのであり、しかも、道徳性にたいする彼自身の熱情でわれわれの心を満たそうとしているのだ。」(ウィルソン『フィンランド駅へ』下435頁)