うろたどな

"These fragments I have shored against my ruins."

アメリカ観察記断章。アメリカのスーパーのカゴ。

アメリカ観察記断章。アメリカのスーパーではカゴは入口にしか置いていない。だから「今日はそんな買わないからカゴはなくていいか」と思って店に入り、「おっ、そういえばこれが切れてたし、こいつも安いから買っておくか」というふうになると、わざわざ入口まで戻らないといけない。自分でもわかっているはずなのに、なぜか同じ間違いを何度もやってしまう。ところが日系スーパー(ドン・キホーテが親会社)だと、セクションごとにカゴが置いてあるのだ。なぜこういう違いがあるのか。アメリカのスーパーは毎日行くところではない。まとめ買いが主流であり、数日分、一週間分を買うのがデフォルトなのだと思う。チラシは一週単位で、安売りは日替わりではなく数日単位である。レジは、大量に買う人(50ドル100ドルまたはそれ以上買う人)と、数品だけ買う人に二極化している。後者の人は買うものしか買わないし、前者の人はカートを利用する。さらに言えば、スーパーは、「珍しいものがあるから買ってみるか」というような好奇心の場所ではないのだろう。アメリカは日本ほど新商品がない。それは裏を返せば、衝動買いがないということであり、人々はいつもの品々をいつもの量だけ買っていく。食にあそこまで新しさや驚きを求め、資本主義的なイノベーションが食産業全体の基調となっているのは日本特殊な事例なのかもしれない。