うろたどな

"These fragments I have shored against my ruins."

アメリカ観察記断章。感謝祭シーズン、家族とバーゲン。

アメリカ観察記断章。アメリカ社会には明確なリズムが刻まれている。その最たるものがサンクスギビング・デーだ。もはや祝日だろうとおかまいなしに四六時中開いている店がある日本からすると驚きなのは、感謝祭の日、アメリカ社会全体が完全な期休止状態になることだろう。小売店は早じまいだし、チェーン店も例外ではない(バラつきはあるが、普段なら10時12時までやっているスーパーが6時には閉まってしまう)。そしてこの日は家族親類と過ごす日なのだ。ここで家族のところに「帰るか帰らないか」という二者択一はナンセンスであるらしい。帰ることはすでに決定事項で、「いつ」帰るかが問題なのだ。この意味でアメリカの祝日には血縁的なものが色濃く現れると言ってよかろう。しかしながら、感謝祭シーズンが一大バーゲン・シーズンであることも事実だ。明日はブラックフライデーで、あちこちで目玉商品が売り出され、人々がそれに群がるだろう。アメリカの祝日とて商業主義と無縁ではない。しかしたとえば日本のクリスマスが完全に商業主義に陥ってしまっているのに比べると、ここにはまだ、何かしら人間的なものが残っているようにも感じる。アメリカにおける祝日は個人主義的なものと微妙に反りが合わないような気がする。そしてそんな日をひとりですごす。