うろたどな

"These fragments I have shored against my ruins."

20240318 ケベックシティ1日目午後前半。Chez Boulay - bistro boréal でブランチ。

ケベックシティ1日目午後前半。ケベックシティまでにいくつか停車駅があったが、「何々ヴィル(ville)」という地名がいくつもあった。「ヴィル」はフランス語で「街」の意味であり、その意味でもケベック州の基盤にあるのがフランス語であることを意識させられる。

わりと何もないところというのは失礼だけれど、線路沿線がわりと栄えておらず、人家が現れるのは駅近くになってのことであるという空間配置はアメリカのアムトラック路線と類似の傾向である。

駅を出ると雪が積もっているというか、溶け切らない雪が溜まっている。そのせいで荷物を転がしていくのに難儀するし、なによりなことに、街の中心に向かってかなりのきつい坂道になっている。

ケベックシティ世界遺産に登録されているそうだが、街の中心こそ石畳で石造りの建物が並んでいるけれど、その外に出ると地面はアスファルト。その上を溶けた雪が水となって流れていくなかを逆らうようにして歩いていき、宿に荷物を預けて、Lonely Planet おすすめのビストロに行ってたらふく食べてきた。

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今日のスープはマッシュルームとのことだけれど、言われなかった分からなかったかもしれないぐらい、濃厚な味。しかし、動物性の重さではなく、後味は軽い。トロミがあるので、余計にコクを感じたのだろう。クルトン代わりのバックウィート(蕎麦)が硬い歯ごたえとなっている。しかし、特筆すべきは熱さだ。火傷しそうなほどに熱いが、それでいて、味がわからなくなるような熱さではなく、食感と味がうまく拮抗する熱さだった。Chez Boulay - bistro boréal にて。

 

フォワグラのテリーヌには塩が散らしてあり、それが舌触り滑らかテリーヌの歯ざわりに軽いアクセント加えるとともに、脂のくどさを中和してくれる。しかし、ブリオッシュのフレンチトーストをこのテリーヌと合わせる理由や、クランベリーソースなどをどう使うのかがいまいちよくわからなかった。単体で食べると美味しいのだけれど。Chez Boulay - bistro boréal にて。

カナダでガメイなんか育ててるのかと思って頼んでみたが、なるほど、これはガメイだ。しかし、軽い爽やかな味わいで、これはこれで悪くない。Chez Boulay - bistro boréal にて。

メインはステーキにオランデーズソース、そしてプティン。このようなモダンなフレンチ系が伝統的なプティンをどうアレンジするのかと思ったら、じゃがいもは皮付きのまま角切り。そのおかげで皮が食感のアクセントになっており、かつ、皮の土っぽさがジャンクなプティンに足りない苦みプラスしている。また、グレービーソースと揚げた(か、おそらくは、オーブンで焼いた)ポテトを先によく和えて、ポテトのソースを十分に絡めたあとでチーズカレーをトッピングしているのかもしれない。簡単な一手間だけれど、味の統一感がある。 メインのステーキは、一口食べるとやや物足りないけれど、トッピングされた目玉焼きとオランデーズソースを絡めながら食べていくと、なるほど、これはブランチのステーキなのだな、と妙に納得してくる。焼き加減はミディアムレアぐらいだけれど、生っぽさはなく、だからこそ、肉を噛んだときの満足感がありつつ、噛み切りにくさもない。赤身の肉の肉感を、ソースや卵焼きのコクや油脂分で補完している。サイドのプティンが重たいので、メインはこれぐらいでちょうといい気がする。サラダも特に変哲もないものだったけれど、多めに入っているセロリが爽やかで、メインとサイドとのバランスがよい。Chez Boulay - bistro boréal にて。

クリームブリュレというと、もっと口径の小さな器で出てくるのが一般的だと思うけれど、あえて薄くて大きな器でサーブしたのは、表面のカラメルの量を増やすためだったのかもしれない。ひじょう硬く、スプーンでつつくと、粉々にはならず、ある程度の大きさを保ったまま砕ける。 こんなに大きくてはカラメルの下部分がくどいのではと思いきや、カスタードではなく、もしかすると 豆乳を使ったムースだったのかもしれない。甘み控えめで、だからこそ、焼いたカラメルの甘さとわずかな苦さがいっそう引き立つ。エスプレッソの苦みとのペアリングも申し分なかった。Chez Boulay - bistro boréal にて。