うろたどな

"These fragments I have shored against my ruins."

2020-03-16から1日間の記事一覧

複製技術時代の音楽の美しい弾み方:トスカニーニのワーグナー

リズムの弾力性は肉体的な衰えと密接に絡んでいるのかもしれない。トスカニーニの戦前と戦後の録音を聞きながら、そんなことを考えてしまう。一般に流布している戦後の録音はリズムが硬い。叩きつけるようなアタックと、息苦しくなるほど突進していくテンポ…

贈与を信じたいという欲望(レヴィ=ストロース「火あぶりにされたサンタクロール」)

"Les explications par survivance sont toujours incomplètes; car les coutumes ne disparaissent ni ne survivent sans raison. Quand elles subsistent, la cause s’en trouve moins dans la viscosité historique que dans la permanence d’une fonctio…

普通にやることの不自然さ:クリップスの自然体

音を合わせることはアンサンブルの基本中の基本ではあるけれども、どのようなバランスで、どのようなニュアンスで合わさせるかは、千差万別だ。それに、縦の線を合わせることをあえて意識させないというやり方さえありえる。 その究極的な形態は、合わせなけ…