うろたどな

"These fragments I have shored against my ruins."

アメリカ観察記断章。アメリカの看板表記。

アメリカ観察記断章。アメリカの看板表記はなぜこうもそっけないのだろう。ショッピングモールのある一角の入口にはだいたいそこに入っている店舗が記載されているのだが、だいたい、文字情報だけ、店舗名だけだ。色使いもそっけなく、白地に黒というシンプルなところも珍しくない。

日本との比較でいくつかのことに気づく。1)日本の看板はひとつにまとまっておらず、ひとつひとつが個別にアピールしている。日本の郊外型巨大ショッピングモールはそういう形式になっていると思うが、それはまさにアメリカン・スタイルである。2)日本は文字情報がほぼデフォルトで「ロゴ」になるが、アメリカは単なる「文字」のままであることが多い。3)日本の「ロゴ」は往々にして「図形」になるが、アメリカのそれは文字のかたちが残っている。4)日本の店名はひねりが効いていて何屋なのかよくわからなかったりするが、アメリカの店名は呆れるほど単純だ(よくあるのは、「誰々のドーナツ」「誰々のハンバーガー」というふうに、「ファーストネーム」プラス「主力商品」という店名)。5)看板は看板であり、広告はまた別物である。ショッピングモールの入口にある看板に派手な電飾のようなものが付いていることはない。せいぜいネオンサインであり、照明がつく程度。しかしその一方で、フリーウェイ沿いには巨大広告があり、それは日本に劣らず色使いも電飾もけばけばしい。6)日本の街の明るさはふんだんに配置された街灯のおかげだとは思うが、電飾が灯る看板による部分も大いにあると思う。それくらいアメリカの街は明るくない。ダウンタウンですら煌々と明るいということはない。軒先を離れれば途端に暗くなる。