うろたどな

"These fragments I have shored against my ruins."

アメリカ観察記断章。Liquor、CLEANERS、ALTERATIONS。

アメリカ観察記断章。Liquorショップは日本の感覚からすると微妙に時代錯誤な感じがする代物だ。あえていえば、地方小都市でしか見られないような遺物に東京周辺で遭遇してしまったような驚きと戸惑いがある。しかしこの路線でアメリカの郊外を見なおしていくと、驚くほど古臭い店が残っていることに気づく。自分の実家回りだけかもしれないが、日本の中途半端にさびれている市町村ですら店舗がどんどん入れ替わり、昭和な感じのスーパーや店舗が閉店するとその後釜に全国区の大資本のものがやってきて、残存していたローカルな店の息の根を軒並み止めてしまっていることを思うと、よくここまでスモールビジネスが残っているものだと感心してしまうし、生き残っているところは活況を呈しているのだ。

最近個人的に気になっているのはCLEANERSだ。要するに「クリーニング屋」だが、どこも看板には「CLEANERS」としか出ておらず、フランチャイズなのか独立店舗なのかいまいちよくわからない。数回しか利用したことがないけれど、たぶん後者だと思う。というのも、クリーニングは実際の店舗でやっているように見受けられたから。

このCLEANERSは日本のかつての「洋品店」に近いのだと思う。アメリカの洋服屋は基本的に裾上げをしてくれない(だからユニクロが裾上げを無料で提供しているのはアメリカではかなり例外的であり、かつ、かなりお得感があると思う)。これはアメリカが豊富なサイズ展開をやっていて、直しが必要ないようにしているというのもあるが(ウェストだけでなく、裾のサイズまで30、32、34…というふうにバリエーションがある)、それでも直しが必要になった場合、アメリカではCLEANERSがその空白を埋めているようだ。

CLEANERSについて書いたからついでに付け加えておくが、南カリフォルニアのショッピングモール(大きなものではなくコミュニティーに寄り添った小規模なもの)を散策していると、結構な頻度で結婚式衣装をショーウィンドーに入れて宣伝しているテイラー(英語表記だとALTERATIONS)を見かける。もちろんCLEANERSほどではないけれど、それでも日本ではそういうものが結婚式場などのサブカテゴリーになってしまっていて、街を歩いていてもなかなか目につかなくなっていることを思うと、おどろくほど目につくところにある。こういうローカルな、コミュニティ密着型の商売がいろいろな業種で何十年も生き残っているのを見かけると、アメリカより日本のほうがよりラディカルに資本主義的な論理で運営されているのではないかと薄気味悪い感じがしてくる。