うろたどな

"These fragments I have shored against my ruins."

アメリカ観察記断章。100円ショップとthrift shop。

アメリカ観察記断章。アメリカにも100円ショップのようなものはある。99セントショップがそうだ。しかし日本の100円ショップが、その名称にもかかわらず、100円であることをそこまで喧伝しないし看板にデカデカと書き込まない一方で、アメリカの99セントショップはそれを声高に言い募る。だから店の名前がすばり「99 cents only store」だし、みずからをthrift shopと定義する。thriftは「倹約」とでも訳せばいいだろうか。そこまで悪い意味の言葉ではないが、宣伝文句としてはポジティブさに欠ける。日本の100円ショップと比較したときに気づくのは、99セントショップの売りが安さにしかないという点だ。100円ショップがお買い得感(100円でこんなものが、という驚き)を演出し、そのために陳列を工夫したり、アイディア商品を開発したり、チープにならないための努力をしているのに対して、99セントショップは店中に安っぽさが充満しているし、倉庫のようなただっ広い空間にわりとゆったりと棚を並べているので、100円ショップに感じられるような駄菓子屋的祝祭感が皆無である。だから床や壁の趣味の悪い色合いだとか、棚や陳列の無味乾燥さや無為無策さが際立ってしまう。安い商品が雑に並んでいるだけという感じがしてしまうのだ。ここには驚きもへったくれもないし、お買い得感すらそこまでないような気がする。値段相応という感じなのだ。こういう安売りショップをいま利用するのはどういう人々なのか。南カリフォルニアにメキシコ系が多く、またメキシコ系はブルーカラー層が多いという事情もあるだろうが、顧客はメキシコ系が多いし、それをターゲットにしているからか、棚に並んでいる缶詰にはメキシコ系の豆が多く、パンコーナーにはトルティーヤが山積みなっている。こういう場所ではアジア系をあまり見かけない。