うろたどな

"These fragments I have shored against my ruins."

2021-12-26から1日間の記事一覧

訳し重ね(『池澤夏樹、文学全集を編む』)

「鴻巣友季子 私がやっているのは改訳ではありません。訳し直しではなくて、訳し重ねです、ということなんです。新訳は過去を矯正するものではなく、積み重なってきたものに、さらに重ねていくという作業だと思います。だから新訳の完成とは常にあり得なくて…

本質的なものとしての翻訳(『池澤夏樹、文学全集を編む』)

「沼野充義 原作があって、その翻訳があって、それを読む外国の読者がいる、というふうに三つの領域を考えた場合、原作と外国の読者の中間にユートピアのような領域を作るのが翻訳だと思うんですね。だから翻訳は、必要悪や二次的なものではなく、むしろ本質…

正気を保つために変なことをする(岡田利規「六本木」)

「でもこの衝動には従ったほうがいい。従わないときっと自分はもっと変になる、たぶん、取り返しがつかないくらい。僕はそれがなぜかしら、わかってるんです、直観的に。自分を正気に保つには変なことをするのが賢明なときがある。僕はそれを知っている。ま…