ケベックシティ3日目午前。議事堂の前に集団がいたので入れるのかと思ってガイドブックをチェックすると、身分証明書があれば入れるそうだ。そして今日は移動日でちょうどパスポートを携帯していたので軽い気持ちで建物に入ると、はたして警備は空港並みに厳重。
自由に回ることもできるし、ガイドツアーもある。しかし、見るべきは19世紀末に着工された重厚な議事堂の中というよりも、正面入口の前の地下をくり抜くようにして作った Pavallion d’acceuil (2020年完成)。目の覚めるような澄み切ったブルーやレッドが全面を彩る展示室と、降下していく白い螺旋回廊があり、一番下にある円形広場から上を見上げると、ガラス越しに議事堂の塔の上のケベック州の青い旗が見えるという仕掛け。
Assemblée nationale du Québec の national に混乱させられたけれど、ここはケベック「州」議事堂であり、カナダに「国会」は首都オタワにある。国会は二院制だが、こちらは一院制。
しかし、カナダのなかでもここは非常に進歩的なところだそうで、議員の男女比も現在は半々であり、議会ばかりか委員会での議論さえもが聴講可能ーーPavillion の展示室のひとつからガラス越しに上から覗けるばかりか、その隣りにあるモニターとへッドフォンでライブ中継が視聴可能ーーであり、透明度は極めて高い。本会議らしいところで進行中だった予算についての討議も、セキュリティチェックこそ要求されるものの、事前予約なしでその場でフラッと入れるのだから驚かされる。
セキュリティ関連の職員は物々しいが、展示付近の係員はフレンドリー。行く先々で「vous parlez francais?」と訊かれ、まごつきながら「un peu, but...」と口ごもると英語にスイッチしてくれる。
一昨日行った文明博物館の内容が、歴史ある街に似つかわしくないほど現代的なことに驚いたものだけれど、議会の先進的な取り組みを見せられると、「なるほど、そういうことなのか」と納得した。
ところで、日本の議会はここまで市民にたいして開かれているのだろうか。議会の仕組みをビジュアルでわかりやすく提示したり、民主制とは何かを歴史を踏まえて説明したり、議員の日常について物語るような動画を持っていたりするのだろうか。
まったく軽い気持ちで入ったけれど、大きな発見と気づきがあった。