うろたどな

"These fragments I have shored against my ruins."

「ひたすら共生を歓ぶ知性」(高尾歩「訳者あとがき」、メーテルリンク『花の知恵』)

メーテルリンクにとって、人間の知性は、何より自ら闇を用意して自己証明を行ってゆく永遠の生成原理であった。闇は、それが認識されるとき既につねに知性の衝動を引き受けている。そして、メーテルリンクにあっては、その闇のなかに必ず、姿形を纏いながら自分と共振している何らかの像(イマージュ)が現われ、知性は微光を放つその像とともに闇に向かって謎解きに出かけてゆく。如何なる次元でその像が現われるかを問題にしようとする視点はメーテルリンクにはない。メーテルリンクの知性は、ひたすら共生を歓ぶ知性である。」(高尾歩「訳者あとがき」、メーテルリンク『花の知恵』138頁)