うろたどな

"These fragments I have shored against my ruins."

勢力の過剰(有島武郎「迷路」)  

「僕等の生活は勢力の過剰でふうわりと包まれてゐればこそどうかかうか成立つんだ。所が君は馬鹿だから、過剰勢力まで生活の本体だと思ひ込んだり、向不見ずだから、過剰勢力を生活の中に引張り込まうとしたりするんだ。考へても見給へ、欠伸をするたんびにふんぞり伸ばす腕の力を無駄にせずに、実用的に使はうといつたつて、無理だらう、それをしようとする人間に限つて、愚図愚図物に拘泥して、世界中の不幸を一人で背負つたやうな面をするもんだ。」(有島武郎全集3巻311頁)