うろたどな

"These fragments I have shored against my ruins."

2012-03-07から1日間の記事一覧

外国で学ぶこと(吉田健一『東西文学論』)

「我々は外国へ行って、日本のことを学ぶのである。外国へ行って外国人になるだけが能ではない。」(吉田健一『東西文学論』97頁)

近代日本文学の最高の事業、または口語文の創造(丸谷才一批評集五巻)

「近代日本文学の最高の事業は、個々の作品ではなかつたかもしれない。小説家が力を合わせて口語文を創造したことだつたかもしれない。わたしはときどきそう思うことがある。」(丸谷才一批評集五巻279頁)

絶対理念に説明は不要(松本清張全集17巻)

「絶対理念に説明は不要である。/つまり、一切の過程を抜き去って結論だけ命令することが、より絶対的となり、より神聖化される。理由を述べることは、そこに批判の余地を残す。それでは神聖とはいえない。神聖とは、あらゆる批判概念を抹殺し、峻拒するこ…

勢力の過剰(有島武郎「迷路」)  

「僕等の生活は勢力の過剰でふうわりと包まれてゐればこそどうかかうか成立つんだ。所が君は馬鹿だから、過剰勢力まで生活の本体だと思ひ込んだり、向不見ずだから、過剰勢力を生活の中に引張り込まうとしたりするんだ。考へても見給へ、欠伸をするたんびに…