うろたどな

"These fragments I have shored against my ruins."

僕の眼は見る代りに考えてゐた。(有島武郎「迷路」)  

「僕は今日久しぶりで鏡を見た。我れながら醜い顔に恥をかかすまいとして、成るべく鏡からは遠ざかつてゐたのだが、久振りで見ると、僕の顔は驚くばかり痩せてゐた。而して妙にぎらぎらする両の眼は眼の働きをしてゐない。僕の眼は見る代りに考えてゐた。」(有島武郎「迷路」全集第3巻、224-25頁)