うろたどな

"These fragments I have shored against my ruins."

「理解を伴わぬ明澄感」(古井由吉「一作家にとってのマラルメ」)

「まず始めに、難解どころか、私にとってはほとんど絶対的と思われる読解不可能に行きあたる。ところが、辛抱してあれこれ、詩句に沿って「文章」を組み立てるうちに、腑に落ちたというほどのこともないのに、明澄感に照らされる。理解を伴わぬ明澄感、これが曲者だった。これがために、繋ぎとめられた。つぎに日を置かず同じ篇をひらいてみれば、正体の知れぬ漂着物のことどきものに還っている。はてしもなげな反復になる。」(古井由吉「一作家にとってのマラルメ」『マラルメ全集I 月報5』4頁)