うろたどな

"These fragments I have shored against my ruins."

2021-08-05から1日間の記事一覧

多数の結節点としての個人や社会(ラトゥール、レピネ『情念の経済学』)

というのも、われわれ自身のもっとも内奥では、つねに「多数」が支配しているからである。社会学主義の一世紀のあとでタルドを理解することがこれほど難しいのは、彼が社会を個人とけっして対立させず、むしろ反対に、社会も個人もどちらもかりそめの集合体…

他者救済としての「経済」(テツオ・ナジタ『相互扶助の経済』)

われわれがくり返し強調してきた「相互扶助」という言葉は、人びとの道徳意識の根底にある強力な規範でありつづけている。一八世紀はじめに伊藤仁斎が哲学的に表現したように、「善」や「慈悲」(323)は抽象的な概念ではない。人が他者を救い、苦痛や不幸を…