うろたどな

"These fragments I have shored against my ruins."

濫用権としての財産権(グレーバー&ウェングロウ『すべてのはじまり』)

「ローマ法の財産の捉え方——それは今日、ほとんどすべての法体系の基盤である——をユニークなものにしているのは、ケアとシェアの責任を最小限にまで切り詰めている、それどころか、完全に切り捨てているところだ。ローマ法では、所有にかんして三つの基本権がある。使用する権利 usus、財産が生み出すもの(たとえば果樹になる実)を享受する権利 fructus、損害を加えたり破壊したりする権利 abusus である。最初のふたつの権利しか持ち合わせていない場合は、使用享受権 usufruct に該当し、法の下での真の所有とは見なされない。というわけで、財産をケア<しない>という選択肢、それどころか、好きなように財産を破壊する選択肢を持っていることが、真正な法的所有を定める特徴ということになる。」(グレーバー&ウェングロウ『すべてのはじまり』161頁)