うろたどな

"These fragments I have shored against my ruins."

人間の原初的な反抗心(グレーバー&ウェングロウ『すべてのはじまり』)

「遠くの地で受け入れてもらえることがわかっているからこその、共同体から抜ける自由。一年の時期に応じて、社会構造のなかをあちこち異動する自由。権威に従わず、大事に至らない自由。これらはみな、わたしたちの遠い祖先のあいだでは当然のものとみなされてきたようだ。今日の大半の人々が、そのようなことをほとんど想像できないとしても。人間は、原初的な純真状態のなかから歴史を始めたのではないのかもしれない。そうではなく、「あれをしろ、これをしろ」と言われることにたいする自意識的な反感を抱きながら、人間は歴史を始めたようである。(脚注15:この点にかんして、次のことを述べておきたい。人間の言語には例外なく命令形がある。ハヅァ族のようなラディカルに反権威主義的社会においてさえ、命令という考え方をまったく異質なものと感じる人々はいない。しかし、それと同時に、誰かが誰かにたいして事細かに指令を与えることができないようにすることを念頭に置いて、物事を塩梅している社会も数多くある。)」(グレーバー&ウェングロウ『すべてのはじまり』132‐33頁)