うろたどな

"These fragments I have shored against my ruins."

『ブックセラーズ』のまとまりのなさ

10人ほどのブックセラーの群像劇という感じ。ただ、ブックセラーといっても、基本的に稀覯本を扱う人々であり、一般の本屋を期待していたので、すこし裏切られた気分。

10‐15分ほどの短いシークエンスをつないだ作りで、アテンションスパンが短くなってしまった現代人からすると見やすいが、大きな物語がないような印象。実際、ここには、古書業界が先細りであるとか、芸術品(唯一無二)と古書(内容は複製可能だがブツは唯一無二)との比較であるとか、いくつかのライトモチーフはあるものの、全体をつらぬくテーマが欠けている。

3代続く本屋、親から引き継いだ稼業、偶然飛び込んだ業界、などなど、さまざまなキャラクターが登場するが、誰もが、本に対する愛情をいっぱいにかかえていることだけはよく伝わってきて、そこはとても感動的ではあるのだけれども、観ないと損かといえば、そうとも言えない。

悪くはないが、お勧めするほどでもない。