うろたどな

"These fragments I have shored against my ruins."

「自然本来の無宗教」(フェルナンド・ペソア「アナーキストの銀行家」)

「人の力でアナーキストになろうとするなんて . . . とにかくたしかなのは、真のアナーキズムにおいては、ひとりひとりが、自分の力で、自由を創造し、社会的虚構とたたかわねばならないということなのだ . . . この真のアナーキズムの道を歩もうという者はほかにいないのか? それなら僕は行く。ひとりで、自分の力で、自分の信念で、もはや同志の心のささえもなく、全社会の虚構にたちむかう。べつに格好つけたり、英雄気取りのわけじゃない。ごく自然のなりゆきさ。ひとりで歩まねばならない道だというなら、道連れなどいらないね。自分の理想があれば結構だ。」(フェルナンド・ペソアアナーキストの銀行家」『フェルナンド・ペソア短編集』134、35頁)

 

人間性というものを信じて言わせてもらえば、憎悪の体制など続くわけがないよ . . . 社会主義共産主義の目的は、労働者を高い地位にひきあげることではなく、ブルジョワを低い地位におとすことだ。労働者はおなじ状態のままか、さもなければ、さっきも言ったとおり、もっとひどい状態になる。おまけにブルジョワが失ったものを、労働者が手にするわけじゃない。逆に、アナーキズムは、愛の体制だ。そして、自分の愛するものをしいたげようとするものはいない。」(ペソア「「アナーキスト銀行家」補遺」169‐70頁)

 

アナーキズムは自然によって人間の心に植えつけられた、自然本来の無宗教だ。」(ペソア「「アナーキスト銀行家」補遺」175頁)