うろたどな

"These fragments I have shored against my ruins."

感情のひとり相撲(プルースト『花咲く乙女たちのかげに』)

「誰かを愛しているとき、あまりに大きくなりすぎた愛は、私たちの心のなかには入りきらなくなってしまう。愛は愛する対象のほうへ放射され、相手のある面にぶつかって止まると、出発地点に向かって送り返される。私たち自身の愛情のこうした跳ね返りこそ相手の感情と呼ばれるものであり、帰りのほうが相手に向かって放たれた行きに比べてはるかに私たちを魅了する。私たちはそれが自分から発したものであることに気づいていないからである。」(プルースト高遠弘美 訳 『花咲く乙女たちのかげに』)