うろたどな

"These fragments I have shored against my ruins."

特任講師観察記断章。長い長いメール。

特任講師観察記断章。「もし授業評価点で単位取得できるということがわかったらそれで安心して夏を満喫して来学期末にまた同じやりとりを繰り返すことになるのだろうかという危惧は少なからずありますし、授業評価点で単位取得できることが期末テストの結果のふがいなさという見たくも向き合いたくもない現実から目を背けるための偽薬として機能するかもしれないしという危惧もないわけではありませんし――授業評価点が充分あることは、あなたが今学期の授業にそれなりに真剣に取り組み、与えられた課題のためにそこそこ努力し、まずまずの結果を収めたということ以上でも以下でもなく、あなたの英語能力自体を保証するものでは全くない、この明白すぎるほどに明白な事実はここであえて繰り返すほどのものではないかもしれませんが、それでも念のため煩雑であることを承知のうえで強調しておきましょう――、「あなたの授業評価点は単位取得に充分な水準に達していることをここで教えることが、果たして教育上有意義な行為であるのだろうか」という懐疑の声が、「いや、学生をもっと信頼すべきだ」という別の声の音量を上げようとしたまさにその瞬間、信頼したいという気持ちをかき消すかのように暴力的にわめきたてるのですが、かといって、水準以上ではある授業点によって単位は取得できていると教えることと引き換えに、夏休みをとおしてきちんと自学自習することを約束するように求めたところで、強制力のない約束など所詮は無意味な空約束でしかないのですから、同じことを繰り返すことによって最終的に不利益を甘受しなければならないのはほかでもないあなたであること、それから、先延ばしにすればするほど重く厳しくなっていく不利益をくつがえすために払わなければならない努力もますます膨れ上がっていくこと、その2点はけっして忘れるべきではない、と言うにとどめておきましょう。/それではよい夏休みを」