うろたどな

"These fragments I have shored against my ruins."

アメリカ観察記断章。アメリカ資本のスーパーの肉売り場、魚売り場。

アメリカ観察記断章。以前アジア系(日系、韓国系、中国系)のスーパーは鮮魚が充実していると書いたが、アメリカ資本のスーパーは反対に精肉が充実している。これは単に品揃えの豊富さということにとどまらず、アメリカのスーパーは庶民的なところから高級志向なところまで、肉売り場に対面式のウィンドウがあり、量り売りで買えるようになっている。塊肉やひき肉があるのは当然だが、ソーセージやマリネしたものがかなり並んでいる。半々とまではいかないが、7:3以上のバランスだと思う。もちろんパック入りの肉も売り場に並んでいるし、大多数の顧客はそちらをピックアップする。しかし肉売り場がオープンになっていること、そこで働いている人の姿が目に見えるように店舗が設計されているというのは重要だと思う。この点からすると、オーガニックを売りにするトレーダー・ジョーズは異端かもしれない。トレーダー・ジョーズには精肉のショーウインドウがなく、パッケージ済みの商品だけが売られている。魚介類となるとさらに貧困で、冷凍物しかない。いや、そうでない店舗もあるのかもしれないが、自分の知っているところはすべて厳密にパッケージ化されたものだけが棚に並んでいる。トレーダー・ジョーズという自然派を売りにするフランチャイズが、普通のスーパーよりパッケージ化されたものを売っているというのは、資本主義の皮肉なのかもしれない。つまり平均点の高い、規格化されたものを売ろうとするなら、各店舗での即興に任せるのではなく、中央で用意したものを卸したほうが効率的であるし品質の水準も維持しやすい、という意味で。