うろたどな

"These fragments I have shored against my ruins."

アメリカ観察記断章。韓国系スーパーH Mart。

アメリカ観察記断章。ものすごく久しぶりに近所の韓国系スーパーH Martに行ってきたのだが、ずいぶん垢抜けていた。H Martは昨年また南カリフォルニアに一店舗オープンしたので、会社としても上り調子なのかもしれないし、それはまるで、いまアメリカで韓国系が伸びていていることの証左のようでもある。韓国系スーパーの売りは何といっても精肉ではないか。焼肉に最適なようにカットされた肉のパックがたくさんあるし、値段は手頃で鮮度もいい。新鮮な挽き肉があるのもいい(アメリカでは挽き肉の地位が低いのだろう。挽き肉は精肉のなかでも付け足しのような扱いで、ほとんど色が変わったようなものが大半である。たぶん挽き肉は肉の最終処分的な位置づけなのだろうと勝手に思っている)。しかし今回じっくりと店内を眺めて気がついたのは、韓国系スーパーが明らかに中国系顧客にも目配りをしている点だ。いろんなところで(宣伝の垂れ幕とか商品説明のタグ)中国語が入っていた(日本語はない)。韓国系スーパーの中道っぷりはおそらく野菜コーナーにおいてもっとも顕著になる。チャイニーズエッグプラント(中国のなすは日本のものより色が少し薄くひょろ長い)だとかチャイニーズブロッコリーといった食材が並ぶかと思えば、白菜があり、コリアンラディッシュがある。これがとてもおもしろいと思うのは、日本食スーパーではまずこういう中華系野菜が売っていないからだ。もちろん日本食スーパーに中国系食品がないわけではないが(たとえば中国系ブランドの豆板醤のような調味料はある)、生鮮食品はあくまで日本的なものに限定されている。これは中国系スーパーにおいても同様であるように感じる。日本起源のレトルト食品などは並んでいるが、野菜のラインナップは完全に中国よりであるように見える。韓国系スーパーはある意味まさに中道を行っている。ここでは日本的なものも中国的なものも手に入るし、韓国系の野菜もある。