うろたどな

"These fragments I have shored against my ruins."

アメリカ観察記断章

アメリカ観察記断章。国歌の汎用性について。

アメリカ観察記断章。国歌の汎用性について。アメリカ国歌は歌い手の技量を見せつけられるヴィルトゥオーゾな曲でありえるし、何よりそこでは歌い手の個性を表出することが許されている。そしてこの表現の幅の広さは、アレンジの自由度と相まってかなりのも…

アメリカ観察記断章。始まりとしての「卒業」。

アメリカ観察記断章。「卒業」についての意識はアメリカと日本で大きく違っているように思う。「卒業」はgraduationであるが、「卒業式」はcommencementだ。そしてcommencerは「始める」の意である。アメリカの「卒業式」は終わりというよりは何か新しいもの…

アメリカ観察記断章。Proud to be an American。

アメリカ観察記断章。Proud to be an American。アメリカ人であることを誇りに思う。そんな風船が近所のスーパーのレジの脇にふわふわ浮かんでいた。アメリカではこの手のアイテムをいたるところで見かけるのでいまさら驚いたりはしない。しかし、イオンのレ…

アメリカ観察記断章。近所のファーマーズ・マーケット。

アメリカ観察記断章。久々に近所のファーマーズ・マーケットに行ってきた。市のホームページを見ると、FMは(ほぼ)毎日市内のいろいろな場所で開かれているようだ。朝から正午ないしは1時くらいまでで、ショッピングモールの駐車場の一角だとか、公園の一…

アメリカ観察記断章。ビーチタオルというジャンルのタオル。

アメリカ観察記断章。ビーチタオルというジャンルのタオルがある。普通のバスタオルより一回りかそれ以上大きい。素材や織りはさまざまだが、特別な仕立てになっているわけではないし、特に明確な規定があるわけではない。しかしあえて言えば、表裏があるタ…

アメリカ観察記断章。袋入りラーメンとカップラーメン。

アメリカ観察記断章。週末、学科のイベントでジョシュア・ツリー国立公園に行った。その近辺でコンビニともスーパーともつかない店に入る機会があったのだが、なんとなく棚を物色していると、袋入りラーメンとカップラーメンが並んでいた。日本のどこか鄙び…

アメリカ観察記断章。酸味に関する意識。

アメリカ観察記断章。他国に住むことで味覚はどこまで変わるのか。日本国内でさえ、関東関西の違いがあるし、北と南ではかなり味付けが違う。しかし広い意味で日本的な味はあるのかもしれない、というのが気がつけば8年もアメリカに住んでいる身の実感だ。 …

アメリカ観察記断章。TVディナーという冷凍食品。

アメリカ観察記断章。TVディナーという冷凍食品がある。近所のスーパーで安売りしてみたの買ってみた。すでに割引されているのに、5個買うとさらに5ドル引きだ。こうして最終的な小売価格はひとつ1.99ドルである。B5くらいのサイズのトレイは3つにわかれてい…

アメリカ観察記断章。アメリカで売っている日用品。

アメリカ観察記断章。アメリカで売っている日用品は使い勝手がイマイチで、使えないことはないけれどどこか中途半端であると感じることがよくある。たとえば食器用スポンジ。日本だと、ネットに入った柔らかいスポンジと、柔らかく厚い黄色の層と固く薄い緑…

アメリカ観察記断章。アメリカのスーパーのカゴ。

アメリカ観察記断章。アメリカのスーパーではカゴは入口にしか置いていない。だから「今日はそんな買わないからカゴはなくていいか」と思って店に入り、「おっ、そういえばこれが切れてたし、こいつも安いから買っておくか」というふうになると、わざわざ入…

アメリカ観察記断章。アメリカ資本のスーパーの肉売り場、魚売り場。

アメリカ観察記断章。以前アジア系(日系、韓国系、中国系)のスーパーは鮮魚が充実していると書いたが、アメリカ資本のスーパーは反対に精肉が充実している。これは単に品揃えの豊富さということにとどまらず、アメリカのスーパーは庶民的なところから高級…

アメリカ観察記断章。過剰なまでの自己信頼というアメリカ的気質。

アメリカ観察記断章。アメリカ的気質があるとしたら、それは、過剰なまでの自己信頼ではないかという気がする。時々「なぜこんな自信満々なんだ」と不思議に思ったりするし、「こいつら実は自分のことがわかってないだけなんじゃないか」と蔑むような気持ち…

アメリカ観察記断章。タトゥーは見えるところに。

アメリカ観察記断章。刺青が普通に服を着ていたのでは見えないところに彫るものだとしたら(たとえば背中)、タトゥーは見えるところに入れるものなのかもしれない。だからタトゥーの場合、前腕部や肘周りが特権的なキャンバスになるように思う。いつも見せ…

アメリカ観察記断章。Gift Receipt。

アメリカ観察記断章。ホリデーシーズンはバーゲンシーズンであり、ギフトシーズンでもあるのだと思う。とはいえ自分には送る相手もいなければ送ってくれる相手もいないので自己の生活を美しく楽しいものにするためだけに割引商品を少しずつ慎ましく買い漁っ…

アメリカ観察記断章。アメリカの郵便制度について。

アメリカ観察記断章。アメリカの郵便制度について。日本の郵政公社に相当するUSPSがいちばんメジャーで、白地に青のロゴと赤のラインが特徴的だ。次にメジャーなのはUPSで、こちらはこげ茶の背景に黄色のラインが入る。あとはFedExやDHLなどがあるし、ローカ…

アメリカ観察記断章。肉体的接触と親密度。

アメリカ観察記断章。アメリカにおいて肉体的接触と親密度は比例するようだ。これは男女の区別を越えて普遍的だ。だから男同士がきわめて自然に握手し抱擁しているのをあちこちで目にする。そしてここで年齢は関係ないらしい。熟年老年夫婦が、相手の肩や腰…

アメリカ観察記断章。映画のなかの仕草がよくわかるような気がした。

アメリカ観察記断章。映画を見ることはまれだ。おそらく10代から20代にかけての多感な時期に言語=物語表象にのめりこみすぎたせいだろう。あの期間、いま思い直しても驚くほどに本を読み本を読んでいた。本は常に傍らにあった。井の頭線の通学中に父親から…

アメリカ観察記断章。学内バイト。

アメリカ観察記断章。大学構内にはスタバがあり、カフェテリアにはサブウェイやウェンディーズが入っている。しかしそこで働いているのは誰なのか。こうした視点からアメリカの大学を眺めていくと、かなりのところまで、学生たちが働いていることに気づく。…

アメリカ観察記断章。アメリカの紙幣の白人性。

アメリカ観察記断章。アメリカの紙幣に登場するのは白人の男だけだ。これは言い換えると、現大統領まで、アメリカはずっと白人の男が大統領だったということである。オバマ大統領がなぜ革新的だったのか、なぜヒラリー・クリントンが革新的になるのかは、ド…

アメリカ観察記断章。固有名詞の英語読み。

アメリカ観察記断章。アメリカで固有名詞は英語読みされる。単純明快で良いと思うこともあるけれど、日本語が原音尊重だから、カタカナ語でしか知らない音をどう発声したものかと戸惑うことがよくある。名前についていえば、二音節の名前は基本的に問題ない…

アメリカ観察記断章。アメリカの祝日。

アメリカ観察記断章。10月12日は「コロンブスの日」で役所関連は祝日になるが、うちの大学は通常どおりである。アメリカの祝日をざっと眺めると、日本の休日とは別の原理が貫かれていることに気づく。 ひとつは、日付固定のもの(新年日1/1、独立記念日7/4、…

アメリカ観察記断章。語の音の好き嫌い。

アメリカ観察記断章。南カリフォルニアにいると期せずしてさまざまな言語を耳にする。そしてなぜかある言語を聞くと微妙に苛ついてしまうことに気づく。たとえば韓国語やパキスタンアフガニスタンあたりの言語だ。なぜそうなのかと長らく自分でも疑問だった…

アメリカ観察記断章。ハロウィン色の見えるスーパー。

アメリカ観察記断章。まだまだ暑い日が続くカリフォルニアだが、小売店はすでにハロウィンに移行している。アメリカの季節のイベントは基本的に食べ物と連動しない。いや、まったく連動しないわけではないが、ここにあるのは、特定の食材や料理名との結びつ…

アメリカ観察記断章。エスニックなスーパーの手広さ。

アメリカ観察記断章。昨日の続き。Wholesome Choiceというスーパーは店舗がふたつしかないローカルなスーパーなのだが、品揃えが本当に独特だ。店員はだいたい中近東系で、客層も大体そう。入ってすぐのところにパン屋があるが、売っているのは薄っぺらいナ…

アメリカ観察記断章。中近東のプレゼンス。

アメリカ観察記断章。カリフォルニアを留学先に選んだ理由のひとつに、父が「東海岸より西海岸のほうにこそアメリカの未来が見えるのではないか」とこぼしたことにあることはすでに言及したけれど、実際南カリフォルニアに来て驚いたのは、アジアのプレゼン…

アメリカ観察記断章。タトゥーについて。

アメリカ観察記断章。タトゥーについて。自分の見るかぎり、タトゥーをしている人は、三つのグループに分けられる。ひとつ、アスリート(そしてその民衆的な反映としてのブルーカラー)。ふたつ、セレブリティ(そしてその反映としてのファッショニスタ)。…

アメリカ観察記断章。男性性と軍隊的なものの近さ。

アメリカ観察記断章。アメリカにおいて「男性性」ないしは「マッチョさ」の極点には軍隊的なものがあるのではないかという気がしている。ふたつの例。ひとつめ。先学期、ある学生が何度か授業を欠席したのだけれど、学期末のレポートのなかで「軍隊の訓練に…

アメリカ観察記断章。Democracyの原風景。

アメリカ観察記断章。アメリカの学生はdemocracyというと何を思い浮かべるのか。正直、彼女ら彼らが政治(的なもの)としての民主主義で何を理解しているかはいまだによくわからないが、民主主義的な価値観ということになれば、ふたつのポイントがすぐに思い…

アメリカ観察記断章。英語の敬語表現。

アメリカ観察記断章。英語の敬語表現はたしかに日本語ほどややこしくない。実を言えば英語特有の面倒な問題がいろいろあるけれど、日常のシーンで単純にちょっと敬意度を上げたいなら、sirというような表現を「付け足せ」ばそれで案外間に合ってしまうらしく…

アメリカ観察記断章。夏のDMV。

アメリカ観察記断章。毎年夏になるとDMV(Department of Motor Vehicles)のオフィスに足を運ぶ羽目になる。ビザの関係上、大学は1年単位でしか滞在許可を出してくれないので、それに合わせて免許証も毎年書きかえなければいけない。しかし、DMVほどできれば…