うろたどな

"These fragments I have shored against my ruins."

2021-09-18から1日間の記事一覧

空虚な巨大さ:アイロニストとしてのロリン・マゼール

ロリン・マゼールの作り出す音楽の空虚な巨大さはひたすら不気味だ。全体の構えは大きく、音は停滞を嫌うかのように勢いよく流れていく。引き締まった硬めのリズムが小気味よい。それでいて、柔軟さに欠けているわけでもなく、しなやかさもある。抒情的な歌…

『マイスタージンガー』のハンス・ザックスの革命性

ドイツ語再勉強のためにワーグナーの『ニュルンベルクのマイスタージンガー』のリブレットを読みながら、このオペラにおけるハンス・ザックスの立ち位置がわからなくなってきた。 彼がニュルンベルクにおいて尊敬を集める人物であることはまちがいない。ギル…