うろたどな

"These fragments I have shored against my ruins."

2020-02-21から1日間の記事一覧

「個人的な時間の流れに降りて行く」(多和田葉子「文法のすれちがいと語りの声」)

「小説を書くということは、非常に個人的な時間の流れに降りて行くということですので、規則を守りきれなくなることがあります。規則を破ろうとして破るのではないのですが、気がつかないうちにはみ出してしまうのです。」(多和田葉子「文法のすれちがいと…

料理と学問の両立?(岡野弘彦『最後の弟子が語る折口信夫』)

「[大正十年(一九二一)]三月三十一日、折口宅で柳田の渡欧壮行会を催す……折口は二十人分ぐらいの天婦羅を一人で揚げてもてなし、柳田から「こんなに熱心に料理をする人の学問は大成するだろうか」と心配されたという。」(岡野弘彦『最後の弟子が語る折…

「天才とはわれわれの未来である」:アーノルト・シェーンベルク、上田昭訳『シェーンベルク音楽論選――様式と思想』(ちくま学芸文庫、2019)

生産的な人間は自分が再現したいと願っているものを完全にイメージして心の中に抱くことができるのだ。(149頁)*1 天才論というコア シェーンベルクの芸術観の根底にはあるのは天才論であるように思えてならない。 独り天才のみが存在し、未来は天才のため…